コラム · INSTAGRAM
トライアルリールだけでは答えが出ない問いもある
初めて見る人に動画が受けても、それだけでは普段から見ている人が何を求めているかはわからない。結果を切り捨てるのではなく、確かめたいことをもっと絞るべきだ。
Instagramの「トライアルリール」は、投稿者をフォローしていない人にまず動画を見せる仕組みだ。Metaは2024年12月10日にこの方式を紹介した。非公開の予行演習ではない。たとえばメッセージで動画が共有されれば、フォロワーも目にすることがある。ただ、投稿者にとってもっと大事なのは、見せる相手が変わると、その反応からわかることも変わるという点だ。[1]
自分の作品を知らない人にも新しい題材を面白がってもらえるか。その問いを確かめるなら、こうした試し方は役に立つ。一方、ひと月にわたって話を追ってきた人に次の展開が伝わるかを知りたいのなら、尋ねる相手が違うかもしれない。初めて見る人に、話の始まりを覚えていてほしいとは言えない。いつも見ている人は、むしろその続きを目当てに来ているかもしれない。
一つの動画にも、二つの役割がある
ひびの入ったカップを修理する様子を撮る陶芸家を想像してみよう。初めて見る人には、「このカップは直せるのか」という短い物語になる。窯で焼くのに失敗した様子を見ていたフォロワーには、昨日から気になっていたことへの答えにもなる。動画は同じでも、最後まで見たい理由は違う。
そこで陶芸家が、初めて見る人をすぐに引き込めるよう、冒頭をもっと見応えのあるものに変えたとする。筋の通った編集だ。ただし、それがうまくいったからといって、いつものフォロワーには修理の詳しい説明を減らしたほうがいい、とまでは言えない。そもそも、その細かな説明を見たくてフォローした人もいるかもしれない。
数字を信用するな、という話ではない。何を知るための数字なのかを考える必要がある。再生数は、自分を初めて知ってもらう動画の見せ方を選ぶ手がかりになる。だが、すでに集まってくれた人に何を届けると約束してきたのかまでは、数字が決めてくれるわけではない。
役に立つ試し方は、具体的な問いから始まる
Metaは2025年6月、トライアルリールを使った後、一部のクリエイターでリーチが伸びたと報告した。これは同社の内部分析であり、成果の保証ではない。その好ましい結果を認めながら、結論をもう少し限定することはできる。新しい視聴者に出会う助けになる機能でも、自分の動画を評価するほかのあらゆる方法に取って代わるわけではない。[2]
試す前に、「この動画で確かめたいのは……」の続きを考えてみたい。たとえば、過去の投稿を見ていなくても話がわかるかどうか。それなら、まず手を入れるべきなのは、初めて見る人が話に入りやすくなる部分だ。冒頭の見せ方や説明、映像の順番を見直すことになる。一方、「今いるフォロワーは、次に何を好きになるべきか」という問いに、この試し方だけで答えを出すことはできない。
投稿者は、新しい人を招く動画も、これまで見てくれた人との話を続ける動画も作っていい。すべての動画が、両方の役割を同じくらいうまく果たす必要はない。今回どちらを大事にするかを決める助けになるとき、トライアルリールは役に立つ。